島めぐみの俳句絵日記

島めぐみの自作の俳句と絵です。

湧水に当番の札さはやかに

垂井町の史跡巡りに行きました。地名の由来になった井戸など見て回ったのですが、一番印象的だったのが、今でも地域の人たちの生活に欠かせない湧水でした。徒歩でしか入れない路地のあちこちに湧水が流れていたのです。それが、本当にきれいに掃除されてい…

赤のまま島の老婆の愛想よき

何年も前のことです。中学時代の同級生総勢7名でお泊り女子会をしました。朝早くから海辺で貝や流木を拾って散歩したり、懐かしの歌を歌ったり、しばし歳を忘れて過していました。船が出るまで時間があったので、ぷらぷらしていたら、にこにこと話しかけて…

秋天に飛行機雲の一直線

「8月の終りのまだまだ暑い朝、洗濯物を干していたら空にくっきりと飛行機雲が。地上は夏の暑さでも上空はすでに秋。空の色も秋の色でした。気持ちの良い朝でした。」と、この句を詠んだ時の日記には書いてあります。けれど、今年はまだまだこんな青空には会…

水切りの少年少女休暇果つ 昔、まだ学生だった頃、講義を抜け出して川で石を投げ水切りをしていたことがあります。なんだか物寂しいような気持ちがしたものです。なぜか、なんとなく、ですが・・・楽しいというより、なんとなく寂しいような。長い夏休みが終…

カーテンで仕切る病室秋暑し

カーテンで仕切る病室秋暑し 去年、母が骨折しました。夜遅くふらついて転びました。このところ毎年のように救急車を呼んでいるので、ご近所さんにちょっと気兼ねしたのと、たとえ骨折していても「ギブスをしたので帰ってください」とか「圧迫骨折は安静にす…

処暑の湖水平線のしろじろと

処暑の湖水平線のしろじろと 何年か前の事ですが、初めて伊吹山に行ってきました。8月になると山頂近くまでの定期バスが運行されます。地上の8月は秋の気配などどこを探してもないのですが、さすがに山頂は吾亦紅が咲いて居たり、秋の虫が顔を出したりと、楽…

新涼や雨の雫も雨音も

新涼や雨の雫も雨音も やっと雨がふりました。暑い日が続いていたので、なんだかほっとします。気温も多少低くなったような気になります。暑さには大して変わらないのですが、ほんの少し涼しくなったような気がします。久々に聞く雨の音も好ましく、雨に濡れ…

虫の音に風やはらかくやはらかく

虫の音に風やはらかくやはらかく 立秋を過ぎると虫が鳴き始めます。熱帯夜であろうとお構いなしです。本当に律儀です。「ありときりぎりす」なんて感覚は日本人にはそぐわない気がします。何しろこんなに暑くてもちゃんと夜になれば鳴き始めるのですから、蟻…

生身魂昔話の活き活きと

生身魂昔話の活き活きと もう何年も前、母がまだ自分の足で何とかゆっくりなら歩けた頃の俳句です。母の大好きな鮎を食べさせたいと「鵜匠の宿 すぎ山」へ連れて行った時の事です。用意されていた席が、窓際の金華山も長良川もよく見えるとっておきの席で、…

蜩が鳴く山ひとつ丸ごとに

蜩が鳴く山ひとつ丸ごとに お茶の先生の家にお稽古に通っていたころの句です。その家の西には小高い山がありました。里山というのでしょうか。豊かな動植物があり、青竹で垣や器を作り、山苺を摘んでジャムを作ったりするそうです。ある日、いつものようにお…

腑の中にすとんと落ちぬ氷水

「五臓六腑に染み渡る」という言葉がありますね。暑い盛りに冷たい氷水など飲むと、水の通り道がはっきりわかる感じがします。「ああ、今胃の中に到達した」なんておもったりして。もう一つ「腑に落ちる」という言葉もあります。この俳句は、どちらかと言え…

炎昼やのっぺりとした空の色

炎(ほのお)の昼で炎昼。よくできた言葉です。結構昔から、日本の夏は炎昼続きだったのでしょうか。最近特に酷いようには思いますが。こんな日の空を見たことありますか?青くないんです。ペンキをべっとり塗ったような、透明感のかけらもない色で、曇りか…

長々と寝る猫涼し風の道

長々と寝る猫涼し風の道 猫は家の中の一番居心地の良いところをよく知っています。冬は一番暖かいところ、夏は一番涼しいところです。エアコンは嫌いみたいで、ぎりぎりまで自然の風を求めて、板の間のひんやりするところを求めて日に何度か居場所を変えます…

プルメリア一輪髪に挿す暑さ

友達とシンガポールに旅行に出かけました。博物館が一番印象的で楽しかったのですが、その後気取ってアフタヌーンティーをいただいたのはいいけど・・・ハプニング連発の珍道中でした。そんな思い出の一句です。プルメリアという花はシンガポールでは街路樹…