島めぐみの俳句絵日記

島めぐみの自作の俳句と絵です。

岩清水走る鳥獣戯画の寺

鳥獣戯画で有名な高山寺です。京都駅からバスで30分くらい(だった覚えです。とにかく遠かった・・)揺られて行きました。降りたバス停は暑かったのに高山寺への参道(石段の上り坂。二人でいっぱいの山道でした。)に入った途端、涼しくて、別世界になりま…

朱の色を滴り落とす凌霄花(のうぜんか)

暑い夏に暑い色で咲く花です。いかにも「夏」を感じます。ただ、風に揺れるので、暑くても風を感じるのはいいものです。風に揺られながらぽとりぽとりと花が咲き終わり墜ちていきます。いくつもいくつも・・・まるで筆先から朱色の絵の具が滴っているみたい…

足の指みなのびのびと薄暑かな

私は寒がりなのでなかなか裸足にはなりません。汗ばむころになってやっと裸足になります。すると、さすがに開放感が・・・おやおや、指が喜んでいる!もっと早く裸足になればよかった。

若き日の苦労話や水ようかん

長い付き合いの友達がいます。長いだけじゃなくて毎月のように会っている友達です。(今はコロナで半年くらいメールだけ。寂しい!)付き合いが長いので何かも分かっているつもりになっていましたが、ふとした時、私の知らない彼女の顔が見えたりした時があ…

獅子庵の梅の実ここに根を張りぬ

いよいよ梅雨の季節になりました。梅の実が色づく今日この頃です。この俳句は、新しく獅子庵を移築したというので、そのお寺(大智寺?)に行った時の俳句です。芭蕉の弟子でこの美濃の地の人(確か各務支考だったはず?)が住んでいたところが獅子庵という…

緑陰や若き看護師片えくぼ

母の左足に血栓ができました。発見が遅かったら、壊死するところでした。血栓が脳に飛ぶと脳梗塞、心臓に飛ぶと心筋梗塞になるところだった、と告げられ、頭が真っ白になりました。血栓を溶かす薬を3週間ほど24時間点滴して、何とか危機は脱しました。その間…

ほとばしる水光らせてキャベツ切る

夏は水仕事が苦になりません。トマト・キュウリ・茄子といった夏野菜は、たっぷりの水の中でじゃぶじゃぶ楽しそうです。キャベツもざくざく切って冷水で絞めてお酢の効いたドレッシングで和えるとご馳走です。夏野菜はどれも美味しくて大好きですが、切れ味…

十薬にまもられし石ひとつ在り

余呉湖に天女が羽衣をかけたという伝説があります。けれど、そんな伝説にも古戦場にも目もくれず、この湖を歩いて一周してみようと思い立ったのです。出発点の対岸辺りに来た時、急に辺りがひんやりしてきました。見ると、結界がつくられていて中には注連縄…

青嵐婆娑羅の愛でし台子かな

風の爽やかな5月の句会(この句も何年か前のもの)は吟行でした。場所は、柏原の徳源院。京極家の菩提寺として隆盛を誇っていた面影があちらこちらに見られます。京極家と言えば、お市の方の次女のお初と結婚した高次は聞いたことがありましたが、歴史的には…

緑吹く風さわさわと桜の実

私の大好きな桜子(猫)が天国に旅立ってしまいました。桜の実が赤く色づく頃、初夏の風の気持ちいい朝、ぐったりして、私の膝の上でだんだん冷たくなりました。この初夏の爽やかな風は、桜子からのプレゼントのように思います。世界で一番素敵な猫でした。

ちひろの絵切手になりて五月来る

飼っていた猫が急死してしまった時の事です。あまりのショックで、茫然としていたのですが・・・出さなければならない封書があって、ポストに投函しようとしたところ、切手が貼ってないのに気づき、「どこまでぼんやりしているのか・・・」とぼやきながら切…

しゃが(漢字が出てきません)の花眼下に展く美濃尾張

俳句を始めたばかりの頃、俳句の先輩に勧められて行基寺に行ってきました。車で行くのは怖いくらいのうねうねした上り坂を上っていくけれど、それは大変見晴らしの良いところにありました。遠くは一宮のタワーも見え、揖斐川の流れも手に取るようにわかりま…

山笑ういにしへびとの伽藍跡

岐阜市の城田寺辺りに「平安時代大変栄えていた寺があった」とある本で読みました。車で近くを走っていた時、古墳のようなこんもりとした丘が見えました。春になると山桜が点々とその丘を彩り、実に美しい。個人的にきっとパワースポットだと思って、横目で…

花色に染まる野点の緋毛氈

もう何年も前の話です。今年のような寂しい花見ではなく、桜が満開の頃、金華山の麓の公園で野点をしました。皆さんちゃんと着物を着て、野点の雰囲気はいやが上にも盛り上がりました。公園には花見の人でいっぱいでした。「一服いかがでしょうか」と声をか…

スイトピー物言はぬ子もおしゃべりも

3月まで児童養護施設で学習ボランティアをやっていました。宿題を見る筈のボランティアだったのですが、気づくとどういうわけか、本の読み聞かせをしていたり、折り紙やあやとりをしていたり・・・と、子供も孫もいない私にとっては「おばあちゃんごっこ」を…

にこやかに山茱萸の黄のはねてをり

音訳の活動をするために県立図書館に行きます。休憩時間、私たちがお弁当を食べるベンチの目の前には山茱萸(さんしゅゆ・やまぐみ)の木があります。皆さんと一緒にお話ししながら楽しいひと時を過ごします。まだ桜も咲かない、やっと辛夷が咲き始めたころ…

春ともし小さく円き詩人の書

金子みすゞ記念館(みすゞさんの実家)に行ってきました。町中がみすゞさんの詩を大事にしていて、どの家も外から見える場所に詩を掲示していました。記念館は、誰からも慈しまれつつひっそりと佇むように建っていました。そこには詩人の直筆のメモがたくさ…

スカーフの色とりどりに風光る

三月の初めは暦の上では春半ば。けれど、寒がりの私にはまだまだ寒い時期です。マフラーでは少し恥ずかしいので大きめの鮮やかな花模様のスカーフを使いました。色が綺麗なスカーフは気分を春にしてくれます。トレンチコートに鮮やかなスカーフを巻いて、友…

千年余もがく邪気をり亀鳴けり

西大寺の特別公開というツアーに参加しました。西大寺のご住職が「この寺には、日本最古の彫刻が残っています。」とおっしゃいました。何かと思ったら、四天王(の誰だったか)に踏みつけられている邪鬼でした。悪さをしないように押さえられているとのこと…

甘夏を煮つめ黄金色の壜

私はマーマレードが大好きで、毎年のように作っています。甘夏の皮が柔らかくなって実の中に溶けていくまで煮詰めるのが醍醐味です。瓶に詰めた後、ちょっと透かして見ると小さな太陽を閉じ込めたような色になっています。今年も美味くできたな、と思う瞬間…

ゆったりと円く赤らむ春の月

母が急に寝たきりになりました。介護の始まりでした。介護は急にやってきます。本人はおむつが納得できなくて自力でトイレに行こうとしますが・・・ということで、この急な事態に介護される方もする方も戸惑いの方が大きくて、いろいろなことが後手に回って…

猫の子の日だまりにゐて日の匂ひ

猫の子って春の季語ですけど、今年は立春前とは思えない暖かさ。おかげでうちの子(猫)は、お腹を出して日向ぼっこしています。猫の子は丸くてふわふわしてて暖かいです。思わずお腹に顔を埋めてみたくなります。猫は迷惑そうですが・・・

まだ硬き空を背(せびら)に梅ふふむ

まだ硬き空を背に梅ふふむ 今はまだ立春前なので、この句は冬の句ではありません。でも、もう梅がほころび始めているようです。最高温度は3月並みだそうです。 「梅ふふむ」ってとてもかわいい言葉だと思って、一度は使ってみたいと思って作った俳句です。「…

母と娘の歩みゆるやか初氷

母と娘の歩みゆるやか初氷 まだ、母が歩行器で歩けた頃の俳句です。ディサービスに出かけるのに朝早く外に出た時、思いがけず氷が張っていて、転ばないようにととても冷や冷やした覚えがあります。 最近氷も雪も見ていないのですが・・・こんなことでいいの…

宿木のそこだけあをし冬木立

宿木のそこだけあをし冬木立 私の家の近くに桜並木があります。堤防沿いに古木が並んでいます。車が入らない道なので、多くの人の散歩道になっています。冬でもウオーキングが盛んです。冬になりすっかり葉が落ち、桜の木々も丸裸になって・・・と見ていたの…

東雲にくれなゐ光り寒に入る

東雲にくれなゐ光り寒に入る 私はマンションの5階に住んでいます。東側の窓からは毎日朝日が見られます。朝は6時に起きるのですが、春や夏は空が白んでから日が昇るのですが、冬はまだ空が暗く30分くらいで急に明るくなります。特に寒のころは空気が違っ…

街路樹のすがた黒々冬の雨

街路樹のすがた黒々冬の雨 子供の頃から冬の雨は雪より冷たく感じるのはどうしてだろう?と不思議でした。温度が低いから雪になるのに雨の方がずっと冷たく感じるのです。この日、電車に乗りながら「また、冷たい雨が降っているなぁ」と思って窓の外を見てい…

薄墨のにじみて深空冬はじめ

薄墨のにじみて深空冬はじめ 俳句を始めるようになって初めて季節によって空がこんなに違うことに気づきました。 春には「シャガールの雲ゆっくりと春立ちぬ」 夏には「炎昼やのっぺりとした空の色」 秋には「秋天や飛行機雲の一直線」 という俳句を詠ませて…

存分に銀杏黄葉の照り映ゆる

存分に銀杏黄葉の照り映ゆる 毎年秋になると、銀杏の黄葉が楽しみです。近くの神社にも立派な銀杏があります。まだ若木ですが銀杏並木もあります。私にとって、紅葉はちょっと特別というかお出かけして眺めるものですが、銀杏は生活のすぐ脇にあり、秋そのも…

国分寺跡やしずかに稲の花

美濃国分寺跡は大垣市の西のはずれ、垂井町との境に近いところにあります。近くには南宮大社もあり、古代には要の地だったようです。時代と共に、建物が朽ち、果ては水田として利用されるにまで至りました。最近になって、水田の中に遺跡らしいものが発見さ…